朝起きたとき顎が痛かったり、奥歯が痛い
もしくは「歯ぎしりしてたよ」と家族に指摘されたことはありませんか?
歯ぎしりは誰でにでもみられる現象ですが、毎晩、しかも長時間(1時間以上)歯ぎしりをしているとなるとお口に悪影響を及ぼします。
今回は、歯ぎしりや食いしばりの原因と対策についてお届けします。
目次
歯ぎしりとは
主に就寝中、もしくは無意識にギリギリと強い力で歯をこすり合わせる「歯ぎしり」。また、日中の活動時にも、咬みしめや食いしばりといった歯や顎に負担をかける口腔内の悪習癖を総称して「ブラキシズム」と称されることがあります。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりはなぜ起こるのか。過度な肉体的・精神的なストレス、歯並び、噛み合わせなど考えられるのですが、現時点では直接的な原因は解明されていません。
歯ぎしりの種類
歯ぎしりは大きく分けて3つに分類されます。実は音のない歯ぎしりもあり、歯ぎしりをしていることに気がつかないことも多々あるのです。
(1)グラインディング
上下の歯を臼の如くすり合わせる運動(※1)一般的に言われる、睡眠中ギリギリと音を出しての歯ぎしりになります。グラインディングは、最も歯にダメージを与える歯ぎしりで、歯が擦り減って平になっている特徴や酷くなると歯が欠けたり、亀裂が入ったりします。
(2)クレンチング
気がつくと上下の歯を強く咬み合わせていることがありませんか?これは音のしない歯ぎしりに該当します。食いしばりや咬みしめもこれに当たります。クレンチングをしている人は頬の筋肉に力が入るため堅く膨らんで見えることがあります。
(3)タッピング
上下の歯を動的にカチカチと噛み合わせる動作です。(※2)
これらの悪習癖を総称して「ブラキシズム」というのですが、特にクレンチングは気がついたら歯を食いしばっていたり、咬みしめている場合が多いのが特徴的です。顎が痛い、顎が疲れる、口が開けにくいなどの違和感を覚えたらクレンチングの可能性があります。
歯ぎしりの悪影響
毎晩、強い力で歯をギリギリとこすり合わせることにより、歯の詰め物が欠けたり、すり減ったり、歯にヒビ割れが生じたりする場合があります。また、健康な歯であっても、歯ぎしりの習慣化によって徐々に歯がグラついてきたりすることもあります。
また、顎の関節に力が伝わり顎関節症や顔面痛だけでなく、筋の緊張による頭痛・肩こりなど身体にいろいろな症状が起こる可能性も示唆されています。さらには、冷たいものがしみる知覚過敏や歯周病を悪化させる要因とも考えられています。(※3)
歯ぎしりにより増えているのが顎関節症だといわれています。顎関節症は、朝起きたとき顎が痛かったり、咀嚼をすると顎が痛い、スムーズに口が開かない、口を開けようとするとカクカクと音がするなどの症状があるのですが、顎関節症の原因にクレンチングが大きく影響しているそうです。
自宅でできる歯ぎしりの対策法
寝ている間に、無意識にしてしまう歯ぎしり。自分ではどうしようもできない! と思いますよね。
しかし、認知行動療法で歯ぎしりを意識するだけでも効果はあります。
(1)上の歯と下の歯を合わせないようにする
口を閉じたままでも開けていても、上の歯と下の歯を合わせないようにしましょう。奥歯を咬み絞めないように気をつけましょう。もし、咬みしめていたらすぐに離すを繰り返すように意識してください。
(2)お口の周りの筋肉をマッサージ
緊張状態が続くと歯ぎしりを誘発しやすくなります。そんなときは、お口周りの筋肉をマッサージしてほぐしてあげましょう。
(3)就寝前のアルコールやカフェインを控えましょう。
寝る前にアルコールを摂取すると睡眠の質が下がってしまいます。寝ている間にアルコールが身体から抜けていくのですが、その代わりに睡眠が浅くなるとされています。睡眠が浅いと歯ぎしりを誘発しやすくなります。
また、カフェインにも興奮作用があるため寝つきが悪くなります。寝つきの悪さは歯ぎしりの原因となります。就寝前はアルコール、カフェインの摂取を控え上質な睡眠をとるよう心がけましょう。
歯ぎしりの治療
スプリント療法
歯ぎしりの治療法として一般的なのは「スプリント療法」です。スプリント療法とは、歯に人工のプラスチック(もしくはゴム製)のマウスピースを装着しお口の中の負担を軽減する治療法です。(※スプリント療法は保険が適用されます。)
他にも、余分な力が働かないようお薬で調整する薬物療法もあります。ただ、薬物療法は常習性や副作用があるため長期間の服用はおすすめできません。
歯ぎしりセルフチェックしよう
自分が歯ぎしりをしているか分からないという人は多いと思います。そこで、歯ぎしりをしているのかどうかセルフチェックしてみましょう。
(1)朝起きると顎が痛い、疲れている、歯が浮いた感じがする。
(2)筋肉がこわばり、原因の分からない肩こりや頭痛がある
(3)歯にひび割れや奥歯が磨り減っている箇所がある
(4)日中の活動時、気がつくと歯を咬みしめるクセがある
(5)頬の内側に噛んだあとがついている
(6)知覚過敏の歯が多い
(7)歯の詰め物が欠けたり取れやすい
(8)歯ぎしりをしていると家族に指摘された
上記の項目、いくつ当てはまりましたか? 一つでも当てはまる場合はご自身でも気づかないうちに歯ぎしりをしている可能性が考えられます。一度、歯医者でのチェックをおすすめします。
歯ぎしりは自分で気が付きにくい!
いかがでしたか?
歯ぎしりは自覚もなく、自分では判断しにくいところも難しい点だと思います。
歯ぎしり程度でと考える方もいると思いますが、単なるクセや体質ではなく歯ぎしりも長期間に及ぶと悪影響しかありません。
日頃から家族に指摘されたり、セルフチェックで気になることがあるという方は、歯ぎしりをしているかどうか、歯医者で診断してもらい適切な対処、治療を受けましょう。
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梅ヶ丘一丁目歯科 院長 堀籠眞一(ほりごめ まさかず)
経歴
松本歯科大学を卒業
医療法人社団 歯友会「赤羽歯科」
医療法人社団 友伸会「仙川町歯科クリニック」
両院併せて30年以上、歯科診療に携わる。大手の歯科医院勤めにより先進技術・先進医療を取得。
学会にて常に新しい治療方法を学んでいる
モットーは『自分の歯で一生を過ごす為の治療』慣れ親しんだ梅ヶ丘という地で開業し、皆様に愛される地域に根付いた歯科医院を目指しております。