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口腔ケアが命を守る!
梅ヶ丘1丁目歯科 堀籠(ホリゴメ)です。
日本は地形、地質、気象条件などにより自然災害が多いことでも知られています。
万が一、避難生活を送ることになった場合どのように口腔ケアをしたらいいのでしょうか。
今回は、災害時にどんな備えが必要なのか、水のない場所での口腔ケアの仕方などをご説明します。
災害時口腔ケアの必要性
災害時には必ず水不足に陥ります。そうなると口腔ケアは後回しになりがち。「歯磨きを数日しなくても死ぬことはない」、「歯磨きやうがいよりも優先することがある」と思いますよね。
しかし、避難生活が長引くことでのストレス、慣れない環境、栄養状態の悪化、口腔衛生状態・免疫力の低下で高齢者の肺炎などの呼吸器感染症が増加すると言われています。
災害での直接死と別に、呼吸器感染症などの関連死で亡くなられる方がたくさんいらっしゃるのです。
復興庁によりますと東日本大震災では、震災発生から2019年9月末までに、震災関連死と認定されたのは、全国で3701人にのぼります。年齢別ではおよそ9割が66歳以上の高齢者とのこと。(※1)
関連死は呼吸器感染症だけではありませんが、災害時にこそお口のケアに気をつけ、関連死から自分の命を守ることが大切です。
誤嚥性肺炎とは(ごえんせいはいえん)
災害時に、多くの高齢者の誤嚥性肺炎を発症することがあります。
避難場所での水不足により口腔ケアできないままでいると、お口の中の細菌を唾液や、食物と一緒に吸引してしまい発症するのが誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎はお口の中の細菌が原因であることが多く、口腔内が清潔に保たれないと細菌がどんどん増殖し発症するリスクが上がってしまいます。
気管支や肺に入り込むと、発熱、せき、濃い色の痰など症状が現れます。ただ、高齢者には症状が現れにくい特徴があるので注意が必要です。
災害時の口腔ケア
避難所生活で水がない、歯ブラシがない場合などの環境でもできる口腔ケアの仕方をご説明します。
水がない場合
(1)約30mlの水を用意
(2)水でハブラシを濡らし歯みがきします
(3)合い間にハブラシの汚れを ティッシュでふきとります
(4)コップの水を少しずつお口に含み、 2~3回にわけて、すすぎます。
※液体ハミガキ、 洗口液があれば、 水のかわりに お使いください (水でのすすぎは不要) うがい薬もお口を清潔に保つのに効果的です。(※2)
歯ブラシがない場合
(1)食後に少しの水やお茶でもいいのでしっかりうがいをしましょう。
(2)清潔なハンカチ、ティッシュ、紙ナプキン、ウエットティッシュ、おしぼりなど水で濡らし指に巻いて汚れを取りましょう。
入れ歯の手入れ
(1)1日1度は外して、スポンジ、ウエットティッシュ、ハンカチなどで汚れを拭き取りましょう。
(2)部分入れ歯の場合は、綿棒や爪楊枝、あれば歯ブラシなどで食後に汚れを拭き取りましょう。
唾液腺マッサージも効果的!
唾液は、お口の中の強い味方になってくれます。
食べ物を胃で消化しやすくしてくれる消化作用や、口の中の食べカス、汚れを洗い流してくれる自浄作用、歯の再石灰化を促し虫歯になりずらくする再石灰化作用、お口から入ってくるウイルスやバイ菌、細菌の増殖を防いでくれる抗菌作用などがあります。
避難所生活などでストレスを抱えると唾液が出にくくなる傾向にあります。そんな時こそ唾液をたくさんだすために、耳の下、頬、顎の下をマッサージをしてお口の中を衛生的に保ちましょう。
備えておきたい口腔ケアグッズ
命を守るための防災グッズにぜひ、追加してほしい口腔ケアアイテムをご紹介します。
・歯ブラシ
・歯磨き粉
・液体ハミガキ
・洗口液(マウスウオッシュ)
・シュガーレスガム
少しずつでも構わないので防災対策を継続しましょう。そして、3ヶ月に1度は非常持ち出し袋をチェックすることも忘れないよう心がけてください。
日頃の備えが皆さんの命を守ってくれます。
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(※1)NHK 東大震災から関連しを防ぐために
(※2)公益社団法人 日本歯科医師会
画像:liza54500/shutterstock
画像:evrymmnt/shutterstock
画像:Irina Naykina/shutterstock
梅ヶ丘一丁目歯科 院長 堀籠眞一(ほりごめ まさかず)
経歴
松本歯科大学を卒業
医療法人社団 歯友会「赤羽歯科」
医療法人社団 友伸会「仙川町歯科クリニック」
両院併せて30年以上、歯科診療に携わる。大手の歯科医院勤めにより先進技術・先進医療を取得。
学会にて常に新しい治療方法を学んでいる
モットーは『自分の歯で一生を過ごす為の治療』慣れ親しんだ梅ヶ丘という地で開業し、皆様に愛される地域に根付いた歯科医院を目指しております。