お口の中の代表的な病気の一つ『歯周病』。
もしかして、歯周病は大人の病気と思っていませんか?
歯周病は大人だけじゃなく、実は子どもも罹患します。
しかし、子どもの歯周病の多くは(一部の特殊な歯周病を除く)『歯肉炎』になります。
今回は、子どもの歯周病についてお届けします。
目次
歯周病とは
そもそも歯周病とはどんな病気なのでしょう。テレビや雑誌で取り上げられているので何となく知ってる、歯周病と聞いて歯茎が腫れて出血を伴うなどざっくりとしたイメージを持っている方が多くいらっしゃいます。
知っているようで実は知らない歯周病を簡単にご説明します。
歯周病は歯と歯茎の周辺や溝(歯周ポケット)に、プラーク(歯垢)内の細菌が侵入、増殖により炎症を起こす病気のことです。
この炎症は歯茎やその周辺だけに留まらず、歯を支えている歯槽骨にまでに及び、骨を溶かします。最悪の場合、歯を失ってしまいます。
歯を失う原因の1位も歯周病です。歯周病は、自覚症状がなく進行していく恐ろしい病気です。静かに進行しながら、歯を支える歯槽骨を溶かし、結果的に歯を失ってしまうのです。
子どもも歯周病になる
そんな恐ろしい歯周病に子どももかかるの!? と不安になりますよね。
子どもがかかる歯周病の大半は歯茎が赤く腫れる『歯肉炎』と呼ばれるものです。
『歯肉炎』と『歯周病』は違うんじゃない!? と思われがちですが、歯肉炎、歯茎の下にある歯を支える骨が溶ける歯周炎、これらを総称したものが『歯周病』になります。
歯肉炎とは、歯に付着した歯垢(プラーク)が原因で歯ぐきが赤く腫れ、歯磨きのときなどに出血を伴います。しかし、きちんと治療さえすれば早期に治すことが可能です。
「ちょっとの腫れや、少しの出血ならすぐ止まるしたいしたことない」と放置してしまうと、将来的に本格的な歯周病に移行し、歯を失う原因になるので歯医者で治療を受けしっかり治しましょう。
歯周病は進行する!
歯周病は進行性の病気です。どのように進行していくのかみていきましょう。
歯周病:軽度
軽度の場合は、歯茎がピンク〜赤く腫れ、歯磨きの際に出血を伴う場合があります。痛みもあまりないので気付かない方がほとんどです。
子どもの歯肉炎はこちらの軽度のものがほとんどです。深刻ではないと思い放置すると歯垢(プラーク)が歯石に変わり、腫れも慢性化、硬くなってしまい治りづらくなる場合もあるで気をつけましょう。
歯周病:中度
中度の場合は、腫れや炎症が悪化し、歯周ポケットもより深くなります。歯肉退縮(歯茎下がり)になっている場合は、歯槽骨や歯根膜など歯周組織の破壊が始まったと考えられます。
歯周病:重度
重度の場合は、歯周ポケットがかなり深くなり、歯の根まで細菌が侵入し歯石などの汚れが付着しています。歯がぐらつき食事もままならない場合があります。
また、歯茎から出血や膿がでて強い口臭も発生し、最悪の場合、歯周外科治療(手術)を要するケースもあります。
歯茎に異常、違和感を感じた場合はすぐに歯医者への受診をおすすめします。
子どもの歯周病(歯肉炎)の原因は
(1)歯磨きが不十分
歯磨きが不十分でプラーク(歯垢)が溜まってしまうと、歯茎が赤くなる、腫れる、出血、痛みなどの炎症症状を引き起こす歯肉炎になります。
小さなお子さんは仕上げ磨きでしっかりプラーク(歯垢)を除去しましょう。ひとり磨きをしているお子さんの場合は週に1〜2回歯磨きが上手くできているかチェックをしてください。
(2)萌出性歯肉炎
永久歯が生えるとき、一時的に歯茎が腫れなたりなどの炎症を起こすことがあります。奥歯によく見られる症状ですが、歯が生えるにつれ炎症も治まる場合がほとんどです。
痛みや腫れが激しい、炎症が長引いている場合は、歯医者への受診をおすすめします。
(3)口呼吸
鼻呼吸ではなく、口呼吸でお口の中がカラカラに乾燥すると、本来、唾液が流してくれるはずの細菌が歯や歯茎に繁殖・増殖し炎症を引き起こしてしまう場合があります。
大人でも口呼吸を鼻呼吸に戻すには並大抵の努力では改善できません。小さな頃から癖つけることが大切です。口呼吸をしているお子さんには、鼻呼吸をするよう注意を促してあげましょう。
(4)思春期性歯肉炎
思春期のホルモン変化により、歯肉炎が起こりやすくなります。
(5)侵襲性歯周炎(若年性歯周炎)
急速に骨を溶かしてしまう稀な歯周病です。プラーク(歯垢)があまりついていないのにも関わらず進行が悪化する特徴があり、家族間で多発していることから遺伝が関係していると考えられています。
歯周病セルフチェック
セルフチェックでご自分のお口の中を観察しましょう。
(1)歯ぐきに赤くはれた部分がある。
(2)口臭がなんとなく気になる。
(3)歯ぐきがやせてきたみたい。
(4)歯と歯の間にものがつまりやすい。
(5)歯をみがいたあと、歯ブラシに血がついたり、すすいだ水に血が混じることがある。
(6)歯と歯の間の歯ぐきが、鋭角的な三角形ではなく、オムスビ形になっている部分がある。
(7)ときどき、歯が浮いたような感じがする。
(8)指でさわってみて、すこしグラつく歯がある。
(9)歯ぐきからウミが出たことがある。
出典:公益財団法人8020推進財団
1~9項目の中で1〜2個当てはまるものがあれば、歯周病の可能性があるとのことです。
3~5個なら初期あるいは、中期歯周炎以上に歯周病が進行している恐れがあるので、歯医者で検診が必要になります。
【まとめ】子どもの歯を守ってあげよう
子どもの歯茎が赤く腫れていても歯周病だとは思わないものです。バイ菌が入ったのかな? 疲れから炎症を起こしたのかな? 程度にしか思いませんよね。
歯周病は大人の病気だと思っている方が大半です。まさか子どもが歯周病に! と驚く方も多くいらしゃいます。しかし、現実には子どもも歯周病に罹患します。
お子さんの歯周病を防ぐためにも、日頃からお口の中を定期的にチェックし、歯医者への歯科検診を数ヶ月に一度受けるように心がけましょう。
子どもの歯周病(歯肉炎)は梅ヶ丘一丁目歯科で!
お子さんが歯周病(歯肉炎)と診断されても慌てることはありません。歯医者へ通い治療を受け、定期的な歯のクリーニング、ブラッシング指導を受けるなど適切な処置を施せば元気な歯・歯茎を取り戻すことができます。
歯肉炎を本格的な歯周病に進行させないよう、歯茎の腫れ、歯磨き時の出血がある場合は梅ヶ丘一丁目歯科へお気軽にご相談ください。
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梅ヶ丘一丁目歯科 院長 堀籠眞一(ほりごめ まさかず)
経歴
松本歯科大学を卒業
医療法人社団 歯友会「赤羽歯科」
医療法人社団 友伸会「仙川町歯科クリニック」
両院併せて30年以上、歯科診療に携わる。大手の歯科医院勤めにより先進技術・先進医療を取得。
学会にて常に新しい治療方法を学んでいる
モットーは『自分の歯で一生を過ごす為の治療』慣れ親しんだ梅ヶ丘という地で開業し、皆様に愛される地域に根付いた歯科医院を目指しております。