歳を重ねると飲み込みづらい、噛めない、うまく口が回らないということがあります。
これは口腔機能の軽微な低下『オーラルフレイル』の可能性が考えられます。
健康と機能障害との中間にあり予防することで改善することができます。
今回は、オーラルフレイルについて詳しくお話ししていきます。
目次
オーラルフレイルとは?
オーラルフレイルとは、噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能が衰えることを指し、早期の重要な老化のサインとされています。(※1)
オーラルフレイルの始まりは食べこぼし、むせたり、食べづらい、噛みづらいと感じる食品が多くなってきたときです。
そこまで気にならないことが症状の始まりなので、高齢者と一緒に暮らしている方は注意深く見守ってください。オーラルフレイルには適切な対応があります。早めに発見できればそれだけ早く対応ができ、改善することが可能です。
オーラルフレイルの影響とは
オーラルフレイルは、口腔機能の低下を意味しているだけではありません。食べることが楽しくなくなる、食べづらくなると身体の健康にも問題が生じてしまいます。
口が回らない、話しづらくなると人と会うのが億劫になり社会との繋がりも乏しくなってしまいます。
オーラルフレイルを放置していると、心や身体への悪影響、身近な社会への関わりも少なくなり、負の連鎖を起こしてしまいます。
オーラルフレイルには4つのレベルがあり、レベルが上がっていくほど重度化していきます。
レベル1:口の健康リテラシーの低下
例えば、定年を迎えるなど、環境が変わることでお口への健康に関心が薄れていくことです。人と会うことが少なくなり気にしていた口臭エチケット、歯磨きなどが適当になってくるなどです。
レベル2:口のささいなトラブル
食事中、飲み物を飲んだりして少しむせたり、食べこぼし、会話の相手から何度も聞き返されたり、聞こえづらいなど言われる、小さな機能低下がみられることです。
レベル3:口機能の低下
しっかり噛むことができない、噛めるものが少なくなってきた、舌をうまく動かすことができなくなる症状です。
レベル4:嚥下障害。要介護状態や運動・栄養障害
レベルが上がるごとに症状は悪化し、心身に悪影響を及ぼしてしまいます。レベル4までいってしまうと、専門医での治療が必要になり、接触嚥下障害は元に戻すことがとても困難です。
では、どのように予防していけばいいのでしょうか?
かかりつけ医を持とう
歯科医は歯の治療をするだけではありません。幅広い知識と見識を備えています。地域の皆さんの口腔機能の健康、維持、向上を日々目指しています。
かかりつけ医がいると専門的なアドバイス、適切な予防措置、ケアの仕方などを継続的に提供してもらえます。これは患者様だけでなくご家族の安心にも大きく影響します。
また、お口の中を知り尽くしたかかりつけ医を持つことは、これから起こりうるお口のトラブル回避にも繋がります。トラブルを予測できるのも、日々、お口の中、歯、舌の動きを見続けるかかりつけ医にしかできません。
5つの効果別体操
お口の健康は心身の健康にも繋がっています。今からご紹介する5つの効果別体操でフレイルを予防しましょう。
1:お口と舌の動きをスムーズにする
まずはお口の体操から始めましょう。お口、舌の体操は唇やほほ、お口周りや舌の筋力をアップができます。お口の機能が高まる、唾液がたくさん出る、動きにくいと感じていた舌もなめらかに動き出します。
お口の体操
- 口をすぼめる。
- 「イ~」と横に開く。
- お口に水を含んだと思いほほを膨らませた後、すぼめるという動きを数回する。(実際に水を含む必要はありません)
舌の体操
- お口が終わったら次は舌の体操です。
- 舌を左のほほの内側に強く押しつける。
- 自分の指で、口の中の舌の先を、ほほの上から押さえる。
- それに抵抗するように、舌をほほの内側に、ゆっくり10回押しつける。
- 右のほほでも同じこと繰り返す。
パタカラ体操
- 「パ」…唇をはじくように
- 「タ」…舌先を上の前歯の裏につけるように
- 「カ」…舌の奥を上顎の奥につけるように
- 「ラ」…舌をまるめるように
- 各発音 8回を2セット行う。
声を出しながらしっかりお口を動かしてください。
2:飲み込むパワーをつける
次は飲み込む力をつけていきます。飲み込むときに必要な筋力をアップします。食事中むせてしまう人にも効果的です。
開口訓練
- ゆっくり大きく口を開け10秒間保持する
- しっかり口を閉じて10秒間休憩する
※お口を開くときには、無理せずに痛みが出ない程度にしてください。
ベロだしごっくん体操
- ベロを少し出したまま、口を閉じて、つばを飲み込む。
ポイントはベロをあまり出しすぎないことです。
(3)噛むパワーをつける
次は食べこぼしや食べ物、飲み物が鼻に流れ込むのを防ぐことができる噛むパワーです。唾液もよく出るようになるので、ぜひトライしてみて下しあ。
咀嚼訓練
ガムを噛むことにより噛むために必要な筋肉を鍛えることができます。
1日2回(朝と夜)、2分間はリズムを決めて、3分間は自由に、計5分間ガムを噛む。
- 唇を閉じて、しっかりと噛む。
- ガムは1か所で噛まず、左右両側で均等に噛む。
- 姿勢を正して噛む。
食事のポイント
- ひと口で30回以上噛む
- 口いっぱいに物を詰め込まない
- ひと口ごとに箸を置く
- 食材はやや大きめに切る、やや硬めにゆでる
- 歯ごたえのある食材を使うながら食べをしない
(4)滑舌をよくする
滑舌が良くなると会話も楽しくなります。明瞭な発音を取り戻すため、予防のためにも頑張りましょう。
早口言葉を言ってみよう
- レベル1:なまむぎ なまごめ なまたまご(生麦 生米 生卵)
- レベル2:隣の客はよく柿食う客だ
- レベル3:あおまきがみ あかまきがみ きまきがみ(青巻紙 赤巻紙 黄巻紙)
- レベル4:隣の竹垣に竹立てかけたのは 竹立てかけたかったので 竹立てかけた
まずは、口を大きく動かしながら3回続けて言ってみましょう。
(5)舌のパワーをつける
誤嚥やむせなどの予防になります。
舌トレーニング
- 舌で下顎の先を触るつもりで伸ばす。
- 舌で鼻のあたまを触るつもりで伸ばす。
- 舌を左右に伸ばす。
- お口の周りをぐるりと舌を動かす。
- スプーンなどを使って、舌に当てて押し、その力に抵抗するように舌を上げます(右から・左から・前から と同様に行います)(※2)
オーラルフレイルのセルフチェック
ご自身がオーラルフレイルになってないか気になりますよね。
オーラルフレイルのセルフチェック表があるので当てはまるものがあるか確認してみてください。
合計点数が3点以上の方は歯医者、かかりつけ医への相談をおすすめします。
オーラルフレイルを防ぐために
噛む、飲み込む、喋るなどはごく当たり前にできること、基本的なことだと思いますよね。この当たり前が当たり前でなくなったとき、やはり誰でも精神的につらくなります。こもりがちになり心を閉ざしてしまいかねません。
まずは早期発見が大切です。症状が軽い場合は5つの効果別体操をして改善していきまましょう。オーラルフレイルの症状が進行している場合は、歯科医、かかりつけ医、専門医に相談することをおすすめします。
オーラルフレイルの予防なら梅ヶ丘一丁目歯科
口腔機能の維持・向上は地域医療を担う梅ヶ丘一丁目歯科の責任でもあります。虫歯治療だけでなく、オーラルフレイルなどお口のトラブルがある方はいつでもご相談ください。
乳児から高齢者まで幅広い患者様の健康をサポートするため、かかりつけ医を探している方も気軽にお声がけください。
【おすすめ記事】歯にも寿命がある!注意したい歯の老化、年齢を重ねると口の中はどう変化する
【参考】
※1:日本歯科医師会
※2:日本歯科医師会 – 口腔体操
画像:(C) imtmphot / shutterstock
画像:東京大学高齢社会総合研究機構 田中友規、飯島勝矢
画像:日本歯科医師会
梅ヶ丘一丁目歯科 院長 堀籠眞一(ほりごめ まさかず)
経歴
松本歯科大学を卒業
医療法人社団 歯友会「赤羽歯科」
医療法人社団 友伸会「仙川町歯科クリニック」
両院併せて30年以上、歯科診療に携わる。大手の歯科医院勤めにより先進技術・先進医療を取得。
学会にて常に新しい治療方法を学んでいる
モットーは『自分の歯で一生を過ごす為の治療』慣れ親しんだ梅ヶ丘という地で開業し、皆様に愛される地域に根付いた歯科医院を目指しております。