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歯が透明になる酸蝕症とは
梅ヶ丘1丁目歯科 堀籠(ホリゴメ)です。
「酸蝕症(さんしょくしょう)」という言葉をご存知でしょうか。
酸蝕症の患者さんは多くいるのですが、あまり知られていません。
今回は、痛みなく進行する疾患「酸蝕症」について詳しくご説明します。
酸蝕症の原因
「酸蝕症」を引きこす原因は「酸」です。
歯は、酸にとても弱く、酸性度の高い飲食物などに長期間、触れることで歯(エナメル質)が溶けてしまう症状です。
酸を含んでいる飲食物、調味料などは意外に多く知らず知らずのうちに歯が酸と触れていることもあります。
お酢を使った料理はもちろんのこと、健康に良いといわれる、フルーツや、グリーンスムージー、酵素ジュースなどにも酸は含まれています。
酸が歯に触れると、歯を保護している硬いエナメル質が一時的にやわらかくなりダメージを受けやすくなります。痛みなく進行していく酸蝕症。どのような症状を引き起こすのでしょうか。
酸蝕症による5つの症状
(1)知覚過敏を起こして冷たいものがしみやすい
(2)歯全体が丸みを帯びる
(3)エナメル質が濁って見えたり、内部の象牙質が透けて見えたりする
(4)前歯の表面がスベスベしてツヤがある
(5)前歯の先端部分が透けており、ヒビが入ったり、欠けたり、ザラついたりする
(6)酸蝕により奥歯のすり減りが加速し、深い溝やへこみがみられる(※1)
酸蝕症は痛みなく進行しますが、気がついたときには知覚過敏の症状がでたり、歯(エナメル質)が薄くなり、歯の形、色、質感、見た目に変化が生じます。健康でキレイな歯でも知らず知らすのうちに進行している場合もあるので注意してください。
酸蝕症の歯と虫歯の違い
プロならば見てすぐに虫歯なのか酸蝕症なのか判断することができますが、一般の方には難しいですよね。そこで、酸蝕症と虫歯の違いをご説明するので、ご自分の歯と比べてみてください。
酸蝕症
(1)酸蝕症は歯の表面に症状が現れる
(2)歯がシミやすくなる
(3)食べ物や飲み物に含まれる酸または胃酸の影響で引き起こされる
虫歯
(1)「歯と歯の間」、「歯の根元」、以前治療をした「詰め物と歯の隙間」の3箇所に虫歯はできやすい
(2)歯の初期段階は、エナメル質の表面が他の部分と比べて白っぽくなる
(3)「象牙質」や「歯髄」など歯の内側まで炎症が広がると全体が黒く透けて見えるようになる
エナメル質は一度失ってしまうと元には戻せません。歯も治療で削ってしまうと元に戻すことはできません。酸蝕症にしろ、虫歯にしろ、定期的に歯科医の診察を受けるようにしましょう。
摂食障害と酸蝕症の関係
過食嘔吐は、胃酸を逆流させ酸蝕症の原因にもなります。特に、前歯の裏側がダメージを受けやすく、知らない間に歯が薄くなっていた、気がついたら歯の先端が透けているなどもあるので注意が必要です。
今日からできる酸蝕症の防ぎ方!
(1)普段の食生活の中で、酸性の食品を避ける必要はありません、果物を摂取しても問題ありません。ただ、食べ方を見直してみましょう。
酸性のものを食べる時は、チーズや牛乳、あるいは酸性ではない他の食べ物や飲み物を取り入れてみてください。また、間食の回数も減らすようにしましょう。
(2)酸性の飲み物を飲む時はストローを使い、がぶ飲みをしたり、口の中に溜めたりしないように。
(3)歯質を強化するフッ素配合の歯磨き粉を使用し、1日2~3回ブラッシング。歯を磨く際はやわらかめの歯ブラシを使用してください。(※2)
酸性のものを食べたあとは「歯磨きをしない」のもポイントです。
酸性の食べ物をとったあとは、歯(エナメル質)が一時的にやわらかくなっています。そのときに歯ブラシでゴシゴシ磨くと歯を傷つけてしまう可能性があります。歯磨きをする場合は、食後30分を目安に歯磨きをしましょう。また、食後に軽く口をゆすぐのも効果的です。
就寝前、酸性の飲食物は避けてください。就寝中、お口の中は唾液が減る傾向にあります。酸が残っていると再石灰化が行われなかったり、お口の中が中性に戻りにくくなります。
溶けにくい歯にするために!
酸蝕症は痛みなく進行するため気づくのが遅くなってしまいます。さらに、歯は年齢を重ねるほど傷み、酸蝕の影響を受けやくなっています。
いつまでも大きな口を開けて笑い、おいしいものを食べたいものです。
大切な歯を溶かさないため、梅ヶ丘1丁目歯科で定期的な歯の健康状態をチェックを行いましょう。
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(※1)オーラルヘルスオンライン – 公益社団法人 神奈川県歯科医師会
(※2)シュミテクト
画像:Irina Meliukh/shutterstock
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画像:Billion Photos/shutterstock
梅ヶ丘一丁目歯科 院長 堀籠眞一(ほりごめ まさかず)
経歴
松本歯科大学を卒業
医療法人社団 歯友会「赤羽歯科」
医療法人社団 友伸会「仙川町歯科クリニック」
両院併せて30年以上、歯科診療に携わる。大手の歯科医院勤めにより先進技術・先進医療を取得。
学会にて常に新しい治療方法を学んでいる
モットーは『自分の歯で一生を過ごす為の治療』慣れ親しんだ梅ヶ丘という地で開業し、皆様に愛される地域に根付いた歯科医院を目指しております。